12 - アポクリファイル

「チュートリアルを最後まで確認したんだけど」「ああ」「『コピー』にあたる機能が解説されてなかったのでここで紹介しておきます」「よろしく」「 すごく重要です 」「お…おう」

    マーク開始: C-SPC

    適当に範囲指定

    カット: C-w
    コピー: M-w

「以上です」「コピーの場合は C-が M-に置き換わっただけだな?」「うん。あとの使い方は同じ。C-y で貼り付け (yank) とか,キルリングもカットとコピーは共有です」「よし」「そうそう,C-SPC も C-g でキャンセルできるのは知ってるよね?」「チュートリアルでは書かれてないな」「ぜひ覚えておきましょう」


「ところでタイトルの意味が全くわからんのだが」「アポクリファはデイドラの君主・ Hermaeus Mora が支配する領域の名前。知識を求める者はいずれアポクリファにたどりつき,やがて狂気にとらわれて頭がおかしくなってしぬ」「ますますわからん。章のタイトルは?」「深淵っていっつも覗かれてばかりだから」「…特に意味はないんだな?」「うん。語呂がよくてそれっぽいのをつけてるだけ。だって誰も章のタイトルなんて見ないもん」「悲しいこというなよ…」


*ファイル
==========

編集している文章を恒久的な物にするには、それをファイルに保存しなければ
なりません。さもないと、Emacs の終了と同時にそれはなくなってしまいます。
文章をファイルにセーブ(保存)するには、文章を入力する前に、まずファイ
ルを開かなければなりません(ファイルを "visit" するとも言います)。

ファイルを開く (find) とは、そのファイルの中身を Emacs で見ることを意
味します。色々な意味で、それはあなたがファイル自身を編集しているかの様
です。しかし、Emacs で行う変更はファイルをセーブする迄は恒久的なものと
なりません。これは、それを望まないのに、途中まで変更したファイルが残る
のを避けるためです。セーブした後でさえ、変更したものが間違っていた時の
ために、元のファイルは名前を変えて残されます。

画面の一番下近くに、"-J:-- TUTORIAL.ja" の様な文字列で始まり "----" で
終っている行があるはずです。通常は画面のこの部分に現在開いているファイ
ルの名前が表示されています。今は "TUTORIAL.ja" という名のファイル(こ
れは Emacs 入門ガイドのあなた用のコピーです)を開いています。Emacs で
ファイルを開くとそのファイルの名前がこの部分に現れます。

ファイルを開くためのコマンドはこれまで学んだものとは違い、ファイルの名
前を指定しなければなりません。これを、コマンドが「端末から引数を読み込
む」と言います。今の場合は引数はファイル名です。次のコマンド

C-x C-f   ファイルを開く (find)

をタイプすると、Emacs はファイル名を聞いてきます。タイプしたファイル名
は画面の最下行に表示されます。この最下行は、こういう入力のために使って
いる時は、ミニバッファと呼びます。通常の編集コマンドでファイル名を編集
することもできます。

「何か言うことはないのか?」「『歩くとは何か』について説明されてる感じ」「ふむ」「自分のなかで非言語的に理解しているものを相手に伝えるのがどれくらい大変か,これ読むと伝わってくる」「ほう。どう大変なんだ」「伝えたい情報の核を抽出するための抽象化と,比喩をまじえて相手に伝えるための具体化。相反する二つの技術を組み合わせないと自分の言いたいことが相手に伝えられなくて,すごく大変なんだけど,でも,私はそれを磨いていきたい」「いい心がけだ」


ファイル名の入力中(あるいはその他のミニバッファ入力中)に C-g によっ
てコマンドをキャンセルできます。

>> C-x C-f をタイプしてから C-g をタイプしてみましょう。ミニバッファが
   取り消され、それを使っていたコマンド C-x C-f 自体も取り消されます。
   だから、ファイルは何も開かれません。

ファイル名を入力したら、<Return>キーをタイプし入力を完了させます。そう
すると、C-x C-f コマンドが走り始め指定したファイルを開きます。ミニバッ
ファは C-x C-f コマンドの終了とともに消えます。

ファイルの内容が画面に表示されると、その内容を変更することができます。
加えた変更を恒久的なものにしたければ、次のコマンドをタイプします。

C-x C-s   ファイルをセーブする

これは Emacs が保持している文章をファイルにコピーします。初めてこれを
実行するときは、元のファイルを新しい名前に付け替えるので、その内容は失
われません。その新しい名前は元のファイルの名前の最後に "~" をつけたも
のです。

セーブし終わると、セーブしたファイルの名前が表示されます。割と頻繁にセー
ブした方が良いでしょう(「自動セーブ」の節も参照のこと)。システムが落
ちてもせっかくの作業がパアにならないように。

>> C-x C-s とタイプしてこの入門ガイドのコピーをセーブして下さい。
   画面最下段に "Wrote ...TUTORIAL.ja" と表示されます。

割と頻繁にセーブした方が良いでしょう

「いいですか?」

割と頻繁にセーブした方が良いでしょう

「もういちど言います」「お…おい」


割と頻繁にセーブした方が良いでしょう


「ゲームはいつでもリセットできるなんて昔の話」「うむ」「けれども Emacs は昔 (1976) からのソフトウェアなのでこまめにセーブすればリセットできます」「そ…そうだな」「Git を組み合わせると磐石です」「たしかに」「Emacs でセーブするたびにコミットしてくれるパッケージもあります (git-auto-commit-mode)」「それはすごい」「けれどもセーブしなければコミットしてくれません」「ああ」「だから最後にもう一度言います」


你最好养成经常存盘的习惯

「この文言,中国語版にもあるのになぜか英語版にはない」「なんだって!?」


    既存のファイルを開き、内容を見、編集することができます。存在しないファ
    イルを開くこともできます。Emacs で新しいファイルを作るには次のようにし
    ます。ファイルを開きます。最初は空っぽですね。文章を入力していきます。
    ファイルをセーブしようとした時に初めて新しいファイルが作られ、今まで入
    力した内容がそれに書き込まれます。それ以降は、あなたは既存のファイル
    (たった今作られたファイル)を編集していると思って下さい。


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