銀河の縁
あなたは広大な旅を経て,木星の衛星『エウロパ』の基地に到着しました。基地の扉を開けると,机に載った一匹の亀があなたを歓迎します。
亀は言いました,「お客様に会えるとは珍しいことです。何か用ですか?」
あなたはこの施設に来た目的,すなわち『万能翻訳機械』について亀に質問します。
「ああ…」それを聞いた亀は,頭を身体に引っ込めました。「翻訳機には少し問題があります。」
「どんな問題ですか?その問題が何であれ,私にはその翻訳機が必要なのです」あなたは言いました。「私はソンブレロ銀河に行って,銀河間パスポートを取得しなければならない。」
亀は頭を伸ばして言います,「うーむ,問題というのは,その機械でなく,あなたの言葉遣いの方にあります」
「私の言葉遣い?」あなたは言いました。
「はい」亀は言いました。「あなたも知っているように,あなたの言語は "汎銀河語" とかなり違います。ですから,翻訳機に合わせて,あなたは言葉遣いを改めなければなりません。」
「私は何をすれば,翻訳機に合った言葉遣いができるようになりますか?…おっと」
亀が机から落ちそうになったので,あなたは慌てて亀を掴み,元の場所へ戻しました。
「ありがとうございます」
亀はあなたに感謝しました。「それで…そう,言葉遣い」
亀が前足を掻きました。すると,スクリーンに,あなたが読める文字が表示されました。
- 明確なコア・メッセージ
- あなたは何を伝えようとしていますか? 要望? 批判? それとも賞賛? いずれにせよ,その内容が明確であるほど翻訳の精度が上がります。
- 文章の主語は何ですか?
- 文章の主語を明確にすると,翻訳の精度が上がります。
- 句読点を適切に使用する
- 句読点を適切に使用し,文の構造をシンプルにすると,翻訳の精度が上がります。
...
「待って」あなたは大声で言いました。「このアドバイスは幾つあるのですか?」
亀は言いました,「あなたの場合,32767 項目あります。」
「なんてことだ」あなたは呻き声をあげました。「万能翻訳機の問題を私は理解しました。この道具を使いこなすには膨大な訓練を必要とする。」
「そのとおりです,」亀はスクリーンを消灯して言いました。「ですから…」
「オーケー。私は翻訳機に適した言葉遣いを身につけることにします」あなたは胸を叩いて言いました。
「ええっ ?」あなたの言葉に,亀はこれ以上ないくらい首を伸ばして驚きました。
「私は,人間の脳が柔軟で,また適応力が高いと知っています。それだけでなく,私は万能翻訳機が完成するまで待つことはできません。他にも理由があります…」
「ええと」亀はあなたの話を中断しました。「あなたが翻訳機に適したテクニックを身につけようとする理由も 32767 項目くらいありそうですね。」
亀が再び前足を掻きました。すると,机に丸い穴が開いて,小さなチップが出現しました。
亀はあなたを見て言いました,「このチップをあなたの端末に挿入してください。そうすれば,すぐに翻訳機が利用できます。」
「ありがとう。」あなたは亀にお礼を言って,チップを携帯端末に挿入して言いました,「ところであなたは客が珍しいと言っていましたね?」
「はい。しばらく他のお客様が訪れることはないでしょう。」
それを聞いたあなたは笑顔になって言いました,「私には翻訳機の訓練が必要です。そこで,私が知っているいくつかの物語を話させてくれませんか?」
亀はまたびっくりして首を伸ばしました。
この理由で,翻訳機を介した,いくつかの物語が始まります。
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