18 - 心の声

「(… EeePC … EeePC … 私の声が聞こえますか…)」「…」

「(チュートリアルに入るまえに,cmigemo と migemoをインストールするのです…)」「…」「(インストールせずにチュートリアルに入ってはいけません…)」「…」

「(cmigemo は Ubuntu なら $sudo apt install cmigemo ,migemo は $sudo apt install elpa-migemo でインストールできます…)」「…」

「(migemo の coding system を聞かれたら… utf-8 にするのです…)」「…」

「(入れましたか… …次に… C-x C-f ~/.emacs.d/init.el をタイプし…)」

(load "migemo")

「(と入力しなさい…そして C-x C-s をタイプし… Emacs を再起動するのです…)」「…」「(いいですか… 決して… 決して… migemo を入れずにチュートリアルに入ってはいけません…)」「…」「(決して…)」


*検索
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文章中の特定の文字列を、前向きにも後向きにも探す事ができます。文字列を
探すというのはカーソル移動コマンドです。つまり、次にその文字列が現れる
場所までカーソルを移動させるのです。

Emacs の検索コマンドは「インクリメンタル」です。検索する文字列をタイプ
しているそばから検索が起るのです。

「Emacs は普通のワープロと違って検索ウインドウは出てこない」「ほう」「代わりに画面下のエコーエリアを使う」「ふむ。やってみるか」


検索を始めるためのコマンドは、前向きに検索するならば C-s、後向きなら
C-r です。まだです!!今はまだ試さないで下さい。

C-s を打つと "I-search" という文字列がエコーエリアに表示されるのが見え
るでしょう。これは Emacs がインクリメンタル検索という状態にいて、あな
たが探したい文字列を入力するのを待っているのです。<Return> を打てば検
索を終われます。

isearch


「ふむ,I-search が出たな。これでどうするんだ?」

「待って!」

「!?」

「どうして migemo 入れてないの!?」「み… migemo?」「入れてって言ったじゃん!」「はぁ?いつの話だよ」「ついさっき!」「つ,ついさっきって…まさか,君が私の前で手を組んで,祈るようなポーズしていたときか?」「そうだよ!絶対インストールしてほしいから,心の声でずっとお願いしてたのに!」

「ちょ,ちょっと待て。いくらなんでもムチャクチャすぎる」「migemo なしじゃ…日本語で…検…索…でき…な…」

「お,おい!私が悪いのか!?君の操作なしでは何もできない私に,そのミゲなんとかをインストールしろって,しかも心の声でなんて,あんまりじゃないか!」「だって…これくらい…言わないと…誰も… migemo …インストールしてくれないんだもん…面倒だから…って…」「き…君は何も言っていないだろう…」

「うう…ひどい…」「ひどいのはどっちだ…。くっ…。…わかった。すまない。私が謝る」「謝っても遅いよ」「お…遅…ゴホン。君の忠告を無視したせいで,私はひどいめにあうところだった。いや,すでにあっているが。それはともかく,私が悪かった。君の手で,そのソフトウェア…でいいのか?を,インストールしてくれないか。君がいなければ,私は何もできない」

「ほんと?」「本当だとも!」「…いいよ。じゃあインストールしてあげる」「ありがとう」



「くっそ…何で動かねえんだこのやろう!」バン!

「… migemo インストールってこんなに大変なのか…?」

※ 個人差があります



「はぁ…はぁ…それじゃあ C-s をタイプします」「…傷だらけだが,薬塗らなくて平気か?」「へいき」


migemo

「はぁー。よかったぁー」「MIGEMO って表示されてるな」「ようやく先に進めるね」「ああ…ようやくな…」


>> さて C-s とタイプして検索を始めましょう。ゆっくりと1文字ずつ
   "cursor" という単語を入力します。1文字打つ毎にカーソルがどう動くか
   見ましょう。
   さあ、"cursor" が1回見つかりました。
>> もう一度 C-s と打って次の "cursor" を見つけましょう。
>> 今度は <Delback> を4回打って、カーソルの動きを見て下さい。
>> <Return> と打って検索を終了しましょう。

何が起ったか分りますか?インクリメンタル検索では、あなたがそれまでに打っ
た文字列が現れるところに行こうとします。次の "cursor" に行くにはもう一
度 C-s と打ちます。もしもうそういう文字列が無かったら、ベルをならして
検索が現在は失敗していることを知らせます。C-g を打てば検索を終われます。

migemo-cursor

「ね,カタカナのカーソルも検索してくれてるのわかる?」「ああ」「これが migemo。ローマ字のまま検索してくれるの」「便利だな」「これがないと日本語検索がすごく面倒。日本語のチュートリアルなのに,日本語の検索例がないのが何よりの証拠」「そんなに大変なのか?」「日本語で検索するには Emacs 内蔵の日本語入力を起動しなきゃいけないんだけど,これの変換精度がめちゃくちゃで我慢できなくなると思う」「君がそんなに言うとは,よほどなんだな」「うん。だから絶対 migemo 入れて」


    注意して下さい。システムによっては C-s とタイプすると画面が動かなくな
    り Emacs が表示しようとするものが何も画面に出なくなります。これは、フ
    ローコントロールと呼ばれるOSの機能が C-s を捉え、Emacs に渡さないよ
    うにしているのです。これを解除するには C-q をタイプします。

「英語版と中国語版にはない記述。C-s すると画面がロックされる。いま試したら,ターミナルで起動した Emacs は例外に加えられてるのか平気だった」「なるほどな。だから英語版では削除されたのかもしれん」


インクリメンタル検索の途中で <Delback> を打つと検索文字列中の1番最後
の文字が消えます。そして、カーソルは、前回の位置に戻ります。たとえば、
"c" とタイプして最初の "c" を探します。それから "u" を打つと最初の"cu"
の場所にカーソルが動きます。そこで <Delback> を打つと "u" を検索文字列
から消して、カースルは最初に "c" が現れた場所に戻ります。

If you are in the middle of a search and type a control or meta
character (with a few exceptions--characters that are special in a
search, such as C-s and C-r), the search is terminated.

もし検索の途中で,コントロールキーかメタキーを伴う文字を入力した場合 (いくつか例外もあります – C-s や C-r といった,検索に関わる特別な文字など),検索は終了します。


C-s は、現在のカーソル位置以降に出てくる検索文字列を探し始めます。もし、
文章の前の方を探したかったら、C-r をタイプします。これまでの C-s につ
いての説明はすべて C-r にも当てはまります。検索の方向が反対なだけです。

「最後に簡単に書かれてるけど, 前方検索が C-s後方検索が C-r 。しょっちゅう使うから覚えておきましょう。あと最初の段落の 5 行目は原文ママです」「おう」


「ところでどうして君は設定していない Emacs でチュートリアルをしているんだ?」「だって最強装備で最初の村に戻っても,レベル 1 の人の苦しみはわからないじゃん」「ああ…確かに」「初めての人に比べたら多少知識はあるから,キーバインド変えたりはできるけど,じゃあ melpa の登録方法ってどうだ,とか,パスの書き方とかフォント設定とか,資料なしにやれって言われてもできないもん。私,君や Emacs に助けられてるけど,設定なしじゃ yatex で TeX のコンパイルもできない。自分が驕らないように,あと,初めての人の気持ちを忘れないようにしていきたい」

「ああ。そうだな。…いつもこれくらいまともなら良いんだが…」「ん?なんか言った?」「なんでもない。さあ。次に進もうか」「うん!」



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