20 - ゴールが見えてきた!
「前回ウィンドウの分け方いろいろ見たから,復習してみようか」「おう」「C-x 0 は?」「いまのウィンドウを閉じる」「そう。C-x 1 は?」「君が故郷への郷愁にかられる」「ふふ。そうだね。C-x 2 は?」「うーむ…どっちだったか…」「上下分割だよ」「そうか。C-x 3 が左右分割」「そう。それで C-x 4 が」「別のウィンドウでファイルを開いたりする」「正解!じゃあ C-x 5 の役割を見てみよう」
*複数のフレーム
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キャラクタ端末を使っているのでない限り、Emacs はいくつものフレームを作
ることができます。フレームとはいくつかのウィンドウのまとまりで、メ
ニュー、スクロールバー、エコーエリアなども含みます(アプリケーショ
ンによってはこれをウィンドウと呼びます)。
>> M-x make-frame <Return> とタイプして、新しいフレームが表示されるの
を確認しましょう。
元のフレームでやっていたことはなんでもこの新しいフレームでもできます。
最初のフレームとその後に作られるフレームで違いはありません。
>> M-x delete-frame <Return> とタイプしてください。これで現在選択され
ているフレームが消されます。
フレームは、通常のウィンドウマネージャの機能(良くあるのはフレーム上
端のタイトルバー上の X 印のクリック)で消すこともできます。フレームを
消しても現在の編集情報はなくなりません。単に見えなくなるだけで、後で
また見えるようにできます。
「…おい」「…なに」「威勢よく『 C-x 5 の役割を見てみよう!』なんて言ったわりに,C-x の影も形も見当たらないんだが」「『!』なんて言ってません。それに英語版だと書いてあるんだよ」「ほう」
「キャラクタ端末とは何だ。あ,待て。冗談を入れると本当にわからなくなるから正直にな」「黒い画面で謎の魔法を入力するもの」「…わかりやすいな」
「そうそう。ややこしいんだけど,Emacs でいう『フレーム』がふつうのコンピュータでいう『ウィンドウ』なので勘違いしないようにしよう」「本当にややこしいな」「フレームを分割した一つひとつがウィンドウ」「ふむ」「でもフレームのことをウィンドウって言っても実生活に支障はない」「そうか」「Emacs 使う人に実生活で会うことなんて滅多にないし」「悲しいこと言うなよ…」
「英語版だと ">>" の部分が C-x 5 に切り替わってます」
>> Type C-x 5 2.
See a new frame appear on your screen.
>> Type C-x 5 0.
This removes the selected frame.
「機能は日本語の説明と全く同じなのでだいじょうぶ」「うむ」
「あ,ひとつ大事なこと言うの忘れてた!」「何だ?」「もしフレームを複数使うなら, M-x server-start をタイプしましょう!」「なんだそれは」「Emacs を常駐させるから二個め以降の起動が速くなる」「ほう」
*再帰編集レベル (RECURSIVE EDITING LEVELS)
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時々(不本意に)再帰編集レベルと呼ばれる状態に入ることがあります。モー
ドラインのメジャーモード名を囲む丸括弧 "()" がさらに鉤括弧 "[]" で囲ま
れます。例えば、(Fundamental) と表示される代わりに [(Fundamental)] の
ようになります。
再帰編集レベルから抜け出すには ESC ESC ESC とタイプします。これは汎用
「抜け出し」コマンドです。余分なウィンドウを消したり、ミニバッファから
抜けたりするのにも使えます。
>> M-x とタイプしミニバッファに入って下さい。それから ESC ESC ESC とタ
イプし抜け出してみましょう。
C-g では再帰編集レベルからは抜け出せません。これは、C-g が再帰編集レベ
ル内でのコマンドや引数を取り消すのに使われているからです。
「再帰とは何か説明してほしい」「ロングマン英和とデジタル大辞泉にはあったんだけど,ロングマン英英と明鏡国語辞典にはなかった。専門用語なのかな?でも数学的帰納法の帰納って再帰と同じ意味らしいんだよね」
「ふむ。それで,再帰の意味はわかったのか?」「完全に理解してるわけじゃないけど,でも,わからない人に説明するときに使っちゃいけない言葉はわかる」「何だ」「『それ自身』ってやつ。数学でいう『 x 』」「ほう」「だって『 x 』の概念が理解できれば再帰だってすぐにわかるもん。それがわからないから聞いてるのに」「そうか。じゃあ君ができる範囲で説明してほしい」
「うーん,そうだな…。雪だるまを大きくするみたいに,同じものを何回も使って形を変えてゆくこと,っていう理解でいいのかな」「ふむ」「雪だるまとは逆に,たまねぎの皮むいてどんどん小さくするのも,同じものを何回も使ってるから,やってることは共通してる」「ふむ」「注目してほしいのは,どっちも作業するたびに形が変わってるのがわかる?」「雪だるまは大きく,たまねぎは小さくなっている」「そう。一回雪をつけたら終わりとか,茶色い皮だけむいたら終わりじゃなくて,そのまま何回も繰り返す。そうすると,やってることは同じなのに,どんどん形が変わっていく。これが再帰」
「重要なのは,前に使ったものを活かして,同じ作業を繰り返すっていうところだな」「そうそう」「ふむ。なかなかいい説明なんじゃないか?」「やった」
*更にヘルプを得るには
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この入門ガイドでは Emacs を使い始めるのに十分な情報を提供したつもりで
す。Emacs にはあまりにも多くの機能があるので、ここですべてを説明するの
は無理です。役に立つ機能をもっと多く学びたいと思う人のためには、Emacs
のコマンドの説明を読むためのコマンドがあります。これらの「ヘルプ」コマ
ンドは皆 Control-h 文字(ヘルプ文字と呼びます)で始まります。
「!!こ…これ…」「何だ」「これ,もうすぐ終わりってことだよね…」「『十分な情報を提供した』って書いてあるな」「スタッフロールかな!?」「そうか?」「もう終わっていいかな…」「それはダメだろう」「どうして。ヘルプなんてネットで調べればいいじゃん」「基本を見直すためにチュートリアルをやってるんじゃないか。Emacs 内での調べ方も基本のうちだ」「…使わないのに」
「興味の範囲が狭まると世界がつまらなくなるぞ」「え?」「好奇心と,こつこつやること。それが君のいいところじゃないか」「…うれしい。なんか,うれしくて泣きそう」「最後までどんな発見があるかわからない。だから,最後までやろう」「わかった。がんばる」
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