04 - サイズを変える
テキストエリアで点滅するキャレットを眺めながら、私は腕組みをしたまま考えこんでいた。
「うーん、画面が大きいかなあ。あとツールバーをもうちょっとシンプルにしたい」
そうして首を傾け、あきらめの表情をうかべる。
「でもどうすればいいかわからない」
『ええーっ!?』
「しょうがないじゃん。Javascriptも書けないし、Vueのアプリを作ったのだって初めてなんだから」
『説明書はないんですか…?』
「ええー」
C202SAの言葉に私の口がへの字になる。
『ええーって』
「ええー…」
『そんな嫌そうな調子で言われましても…』
「君が読んで教えてくれるならいいけどさあ」
『そんな、無茶ですよ』
「でしょ?君に無理なことが私にできるわけないんだって」
『うーん…でも、読まずに進められないのなら、やはり読むしか…』
「はあーーーーーーーーー」
私はため息とも気を高める呼吸法ともとれぬ息を吐きながら、憎々しげな目でmavonEditorのドキュメントを開いた。
「オゥ」
さすがmavonEditor、公式のドキュメントにサイズ変更の方法が書かれている。
<template>
<div id="editor">
<mavon-editor style="height: 100%"></mavon-editor>
</div>
</template>
<script>
// Local Registration
import { mavonEditor } from 'mavon-editor'
import 'mavon-editor/dist/css/index.css'
export default {
name: 'editor',
components: {
mavonEditor
// or 'mavon-editor': mavonEditor
}
}
</script>
<style>
#editor {
margin: auto;
width: 80%;
height: 580px;
}
</style>
「へえー。 style
とかいうタグのなかでサイズを指定できるらしいよ」
『そうなんですね』
「せっかく調べたんだからほめてよ」
『さすがですね!』
「でしょー」
『…』
「もっとほめて」
『す…すごいです。私には到底およばない考えで…』
「でしょー。あとね、もう少し褒め方のバリエーション増やしてほしいんだ。君は褒め言葉の聖地アメリカから来たんだしさ」
『…ええー。うーん、…チューリング以来の天才だ、とか言えばいいんですかね…』
「それは言いすぎ」
『…』
<template>
<div id="app">
<mavon-editor style="height: 100%" language="ja"></mavon-editor>
</div>
</template>
<script>
import HelloWorld from './components/HelloWorld.vue'
export default {
name: 'app',
components: {
HelloWorld
}
}
</script>
<style>
#app {
font-family: 'Avenir', Helvetica, Arial, sans-serif;
-webkit-font-smoothing: antialiased;
-moz-osx-font-smoothing: grayscale;
text-align: center;
color: #2c3e50;
margin-top: 60px;
width: 740px;
height: 500px;
}
</style>
「うーん…」
『左に寄せられちゃってますね』
「そんなのわかってるよ」
『すみません…あ、ほら、元のプログラムだと margin: auto
っていうのがありますよ』
「ほんとだ。これ入れればいいのかな」
color: #2c3e50;
+ margin: auto;
margin-top: 60px;
width: 740px;
height: 500px;
「おおー」
『真ん中になりましたね!』
「すごいじゃん、君」
『へへ』
「私みたいなへっぽこにはもったいないくらい優秀なパートナーだよ、ほんと」
『照れちゃうな』
「こういうふうに褒めればいいんだよ。わかった?」
『…』
「私にはもったいないくらい優秀なパートナーだと思ってるのはほんとだよ」
『…え!?ちょ、ちょっと!だめですよそんな言い方…ああもう、調子狂っちゃうな…』
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