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l b

バツの呪文で magit-log が開かれる。クロメの指示で,以前やったように歴史をたどってゆくと,一番下に行き着いた。

0bfd8ed * In the beginning there was darkness

『一気にいくぞ。 b c ⏎ primus ⏎ !』

b c ⏎ primus ⏎

Head:     primus

突風が吹く。光のまぶしさに目がくらんだ。

明るい空。緑の樹々。生命の息吹。

魔族の力はまだここまでは及んでいない。

「空気がおいしい ! 」

全身で空気を吸い込むように,何度もバツは深呼吸をする。

「げほっげほっ」むせるバツ。それをからかうクロメ。まるで魔族の脅威などないかのような平和な時間だった。

だが新鮮な空気で頭がさえると,バツの目が真剣になった。

「早くみんなを助けに行かないと」

『どこに行くんだ?』

「霊山は七つの寺院で守られてるの。今,魔族の襲撃を受けてるはず。ひとつひとつ追い払おう」

『間に合うのか?』「ひとつ守ったらまたこの瞬間に戻ってきて,別のところに行けばいい。でしょ?」

名案でしょ,と言わんばかりに明るい顔を見せるバツ。

『なるほど。ひとつの寺院を守るごとに poena に変更点を取り込んでいくわけか。君にしてはいい考えだな』

「でしょ ? じゃあ早速,小七院 (しょうしちいん) につれてって ! 」


静寂が支配する。

「どうしたの?」『いや,そのなんとかいう寺院に行くんだろう?』「小七院だよ。ほら早く」『君が場所を知ってるんじゃないのか?』「そうだよ。だから早く」『それなら早く出発したほうがいいんじゃないのか?』「だからそう言ってるじゃん ! 」『何を怒ってるんだ君は』

「だーかーらー,早く私を小七院につれてってって言ってるの !」

『どうやって』

「…へ?」

『ん?』

「私たち,一瞬で過去に戻ってきたよね?」『ああ』「同じように,一瞬で場所を移動するとか…」『そんなことできるわけないだろう』


「…」

バツの身体が地面にくずれおちる。「それじゃあ,何の意味もないよ…」『 Git は記録して追跡するだけだ。それに地獄で Git を使えるほどの魔族なら移動という概念すらないだろう』

「じゃあどうして君は Git を使えるのにそれができないんだよ ! 」『俺は Git を使えないからお前にとりついたんだ ! 』「お,お前ってなんだよ ! 」


「魔族がいるぞ ! 」


大きな声がした。ふりむくと,数人が武器を構えてこちらをにらんでいる。

「ま,魔族って…」

『俺たち以外ないだろう。逃げるぞ』

クロメの合図でバツはあわてて駆け出した。

「ま,待てっ ! 」



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