# 006
かつて南米奥地の集落に、屋根から壁にいたるまで白い羽根で装飾された社があったそうだ。その後の内戦によって社は焼失してしまったのだが、19世紀の学者が調査記録を残していた。その羽根は全て一羽の鳥から取られたもので、使用された量から計算すると、両翼20mほどの大きさになるという。
# 007
水からの伝言という話がある。良い言葉をかけた水で氷の結晶を作ると、美しい模様になるというものだ。ある学校で、冗談で水に「愛してる」と声をかけた生徒がいた。翌日、自宅の寝室でその生徒が亡くなっているのが発見されたのだが、死因は溺死だったという。水も愛情を抱くのだろうか。
# 008
人の笑顔を自動的に検出する「笑顔センサー」。表情の基準を機械が決めることを嫌悪し、非難する人も多い。その一方で、「自分のほかに誰もいないのにセンサーが反応する。不良品だ」と不満をもらす人がいたことは知られていない。なぜならその人物は今、殺人の罪で刑務所にいるからである。
# 009
第二次世界大戦の頃、霧のたちこめる村にソ連軍が兵の徴発にやってきた。彼らは村の男を根こそぎ連れていってしまったのだが、霧が晴れると男達の姿は消えていたという。この事件にかぎらず、霧の日に人口調査をすると、晴れの日と数が合わないという報告が世界中にあるそうだ。
# 010
中国・宋代に作られた青磁の美しい色合いは、現代では再現できないといわれる。ある伝承では、四川から来た陶工が自身の血を釉薬として使ったという。後に青磁の色は鉄分の微妙なバランスによるものと判明したが、伝承を確かめる方法はない。四川の人々は後世の虐殺で根絶やしにされたためだ。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
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