# 016
中世に行われた魔女狩りにおいて、処刑された者のなかに神と対話したと言う女がいた。残された記録によると、彼女が「どうして神は世界から争いをなくさないのか」と聞いたとき、神は「おれが出来るからって、おれがやりたいわけじゃない」と答えたという。
# 017
厚みのある本は綺麗に開きにくく、複写の際、折り目に影ができやすい。これを無くすよう加工した本を作るのも技術的には可能なのだが、ある事件をきっかけに今の仕様に落ち着いたという。それは、綺麗な折り目でコピー機にかけると、ページの隙間から何かが這い出ようとする画面が出力されるのだそうだ。
# 018
スペインで発見された太古の壁画には、文字のような記号の羅列がある。研究者達が解読すると、そこには「我々は地獄の門を開いてしまった」と書かれていたという。問題の絵には、門から出てくる人間のような二足歩行の生物と、そこから逃げまどう異形の生物が描かれている。誰が描いたのだろうか。
# 019
T県を中心に連続殺人事件が起きた。遺体は目玉がくり抜かれた残虐極まりないものだった。後日、警察は一人の男を逮捕し、事件は解決をみた。だがその男は製薬会社の工場に勤めており、「眼球のなかにある水晶体を集めて消臭ビーズを作りたかった。一部はすでに商品に混ぜた」と自供している。
# 020
ある企業が路上で車の自動運転機能をテストしていたときのこと。突然何かを避けるように動き、人をはねてしまった。プログラムに不具合はなく、開発者達の頭を悩ませたが、当時の映像には道路を猫が横切る様子が写っていた。このAIは知識をSNSからも得ている。その世界では猫の方が人間よりも偉い。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
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