# 041
某国では有人宇宙飛行における事故が極めて少なく、その技術の高さが評価されていた。ある日、ハワイに住む男性のもとへ、友人の家族から手紙が届いた。宇宙飛行士となった息子の出発を見届けられるよう、家族全員が国に招待されたのだそうだ。なお、発射場は個人での撮影が禁止された場所にある。
# 042
かつて恐竜の王者として知られていたティラノサウルスには奇妙な噂がある。発見される化石の年代が下るにつれ、脚力が低下するなど、生物として弱体化しているというのだ。まるで強すぎる能力を誰かが調整したかのように。その時代、人間のような高度な知能を持つ生物はいないはずなのだが。
# 043
中央アフリカのある民族は、寿命が短いものの、成人すると背中に羽が生えることで知られている。近年、これが固有のカビによる感染症で、骨の組成が崩れて起きるということがわかった。問題は、研究チームがこのカビに感染した可能性を知らないまま帰国し、最近まで生活していたことである。
# 044
『八つの指を持つ女』と呼ばれた裁縫家マーゴ・シャープ。衣装の複雑な模様がどのようにして作られているのか謎であり、また彼女も人前に姿を見せず、ある日突然消息を絶ってしまった。警察が捜査のため彼女の自宅を訪れると、最近まで人が住んでいた形跡はなく、部屋中がクモの巣だらけだったという。
# 045
明治の頃、山形のある小学校で、校庭に隕石が衝突した。その事件は生徒だけでなく地元の誰もが知るものだったが、田舎の事件ゆえか、当時を伝える新聞記事はない。近年、その校庭跡の土壌を調査したところ、隕石を示す希少金属の類は発見されなかったという。落ちてきたのは何だったのだろうか。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
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