# 051
ネアンデルタール人の遺跡で、エビ反りに埋葬された人骨が見つかることがある。腰だけでなく手足も背中の方に折られ、球を模しているように見える。円という神聖な形で死者を埋葬する高度な文化を持っていたようだ。さらに、付近の壁画には膝の高さほどもある玉を蹴って遊ぶ人々の様子も描かれている。
# 052
チェコを流れるオーデル川に、シャボンの沸く泉があると話題になった。そこには確かに泡風呂のような湖ができており、観光客で賑わった。だが後の調査で恐ろしい事実が判明した。昔、その湖の近くで大きな戦いがあった。泡の正体は、その死体が長い時間をかけ、屍蝋となって溶け出したものだったのだ。
# 053
マンションの通路で男が亡くなっていた。その両目と口は、何かの道具で直角に曲げられたような異様なものだったという。警察の捜査によると、彼は借金の取り立てにやってきて、ドアの前で息絶えたらしい。部屋には誰もおらず、鍵がささったドアには「開けないでください」と張り紙がされていたそうだ。
# 054
ある監査法人に務めていた人物が、報告書を読む手間を減らすためのコンピュータプログラムを開発した。内容がシンプルであれば良し、難解なら本業に問題あり、というものだ。だがそのプログラムが日の目を見ることはなかった。顧客が求めていたのはそれとは真逆のものだったからだ。
# 055
東京・四谷には英語教育を重視する学校が多数ある。そのためか、夜中に現れ「おいでおいで」と手招きする霊も、英語圏の作法にしたがい手を上に向けているそうだ。だから、そこで手の甲をこちらに見せ手招きする霊に出会ったら気をつけた方がいい。それは霊よりもたちの悪いものかもしれないのだから。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
(c) 2019 jamcha (jamcha.aa@gmail.com).