# 026
戦国武将の上杉謙信が実は女性だった、中国の周王朝を補佐した太公望は実は若かったなど、虚像と実像が入り乱れる例は多い。たとえば北欧に伝わる予言者ノランは、実は胎児で、へその尾を通じて母に予言を伝えていたという記録がある。それを裏づけるように、活動した時期は一年に満たない。
# 027
農業の始まりを伝える逸話がカザフスタンに残っている。ある王族が旅先で銀色の人々に出会い、晩餐会に招かれた。しかし最高級のご馳走と呼ばれたものはあまりにも貧相で、王族は侮辱を受けたと激怒した。銀色の人々はお詫びに袋を渡して別れた。そのなかに入っていたのが小麦だったのだそうだ。
# 028
心霊写真が激減した理由をあるエンジニアが語った。これまで幽霊は、デジタル画像の特性を熟知して写りこんできた。ところが機械学習の進歩によって、いまやノイズとして自動で修正されてしまうのだという。しかし幽霊側も黙っているわけではない。技術者と幽霊のいたちごっこは静かに続いている。
# 029
パプアニューギニアには、化粧のかわりに仮面を身につける部族がいる。もともとは毎日の面倒な化粧を省くために生まれたものだそうだが、やがて仮面の装飾にこだわるようになり、かえって手間のかかる厄介な慣習になってしまったという。いつの世も外見を気にせず過ごすのは難しいようだ。
# 030
福井県に伝わる昔話。ある農家の蔵で大蛇が見つかった。大黒柱の根元から巻きつく、それは巨大なものだったそうだ。被害を出さないため猟師に討たれたものの、後にその大蛇は柱が崩れないよう支えていたことがわかった。亡骸は丁寧に供養され、蛇をまつる祠が今でも地元の山中に残されているという。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
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