# 031

とあるウェブサイトに、数字のみが羅列された奇妙なページがあった。一部の読者はそれが聖書の節を指しているとにらんだものの、解読は進まない。後日、それが死海文書の滅びの矢を示していると伝える者が現れた。しかしそのサイトはサーバー障害で消滅してしまい、キャッシュも残されていないという。

# 032

未来から来たという研究者が、人間と区別がつかないほど自然な会話をする青いボディーのロボットを作り上げ話題となった。ところが、会話は実際の人間が担当していたことが暴かれた。一転、詐欺師となった研究者は「未来から来たのは本当で、22世紀でも自然な会話は実現していない」と弁明している。

# 033

一家全員が失踪したという家に警察が入った。居間だけが焼け焦げ、壁に人の影のようなものが残されている。その直後、警官が持っていた計器がけたたましく鳴った。部屋の放射線量が異常な数値を示していたのだ。後の調査で、一部の古い室内灯は、破裂したとき極稀に数千度の熱線を生じるという。

# 034

駅のホームドアは線路内への人の立ち入りを防ぐ役割を担っている。ある日、某地下鉄の駅に設置されたホームドアに何かが挟まって動かなくなった。駅員が調べるとそれは人の髪であり、解体したところ、中から押し潰された人の亡骸が現れた。線路に入れさせまいとドアが巻き込んだのだろうか。

# 035

どんな人間でも6人たどれば世界中の人とつながれる、という仮説がある。ある研究者がシミュレーションを行ったところ、その値は2の2.5乗に収束し、仮説を支持する結果を得た。ただし、多くの人をつなげる「ハブ」と呼ばれる人物は、たいてい学校でいじめを受けている者だという。



この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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