# 011

アジアのある地域で、500年以上にわたり使われていた赤い調味料があった。現在は唐辛子を使っているそうだが、かつては敵との戦いに勝利した証として、祝いの料理に用いられていたそうだ。だが、アメリカ大陸原産の唐辛子が伝わる以前、どのようにして赤い色を生み出していたのだろうか。

# 012

ある金融機関のシステムでは、半世紀以上前に開発されたプログラムが今でも使われているそうだ。たびたび置き換えの話が持ちあがるものの実現には至っていない。保守を行っている開発者によると、そのプログラムは言語仕様のバグを利用して動いており、利率の算出が実際の値と異なるのだという。

# 013

芸術家キャサリン・ベイの生涯には謎が多い。というのも、作品の実物を見た者の多くが心を病み、亡くなってしまうからだ。近年、老朽化した彼女の自宅を検査した人間が相次いで死亡する事故が起きた。その後のX線調査で、自宅の壁に未発表の作品が塗り込められているのがわかったという。

# 014

南半球のある地域に、全身に赤や青の塗料を塗る奇妙な風習を持つ部族があった。彼らは武器を持たないにも関わらず、周辺の部族と争うことは決してなかったという。彼らはやがて滅びたものの、残されたミイラの血液から極めて感染力の高いウイルスが検出された。肌の塗料は警告色だったのだろうか。

# 015

第二次大戦後の混乱期、日本からカリブ諸国への移民が行われた際に、日本へやってくる人々もいたそうだ。仕事のない彼らは、やがて故郷で親しんでいたサツマイモをもとに、焼き芋屋になったという。それが原因か定かではないが、「石焼き芋」のかけ声はカリブ音楽そっくりなのだそうだ。



この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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