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本章は,まずこの物語が完結しているか確認しようという読者にむけて,一応の完結をみたものであることを示すとともに,物語のその後についてわずかに補足しようというものである。
調査隊の物語はまだまだ続くだろう。調査隊が明らかにした場所は北の大陸のごくわずかであり,その先には忘れられた大地がどこまでも続いている。それ以前にアルジはオヤブンに理解されなくてはならないし,精神的に大人にならなければならない。竜人の組織は不穏な空気が支配しているから,やがて内紛が起きれば,調査どころではなくなってしまうかもしれない。かつて一つの目的で行動した仲間同士が,敵味方に分かれて戦うことのないよう祈るばかりである。
語り手は血の嵐の原因や,北の大陸で何が起きたのか,観測省が何をして,何を見たのか,何を思って里に記録を残したのかを知っている。けれどもいまそれを伝えるには,語り手の表現力はあまりに稚拙である。ゆえにここで真相を明かすことはご容赦いただきたい。それに,シッショやマッパの言ったことが正しければ,それだけの人が生きていた証を全て消すことなどできようはずはない。北の大陸の調査が進めば,隠された謎は自ずと明らかになるだろう。
さて,アルジが字を読めないばかりに正確な情報が伝わらず,アルジ自身は調査隊に加わる次第となったのだが,本来所属するはずだった後発隊と呼ばれる組織は,北の大陸で独自の行動をしていたようである。本編ではそのうち,言葉ない一人に遭遇したものの,アルジたちの関知しないところでいくつかの痕跡を残している。それが後発隊の目的につながるかどうかは定かではないが,少なくとも,北の大陸はオヤブンが当初考えていたような牧歌的な土地ではなく,様々な思惑が渦巻く危険に満ちた場所であることは間違いない。
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